新撰組~変えてやる!!
「……“塵も積もれば山となる”って感じだったね…」
「…そうだな……」
葵と斉藤は手加減するのを忘れ、伸びてしまった隊士を眺めた。
「…もう一度、鍛えなおさないといけないかなぁ…」
葵は隊士達を踏まないように斉藤の元へと近付いた。
「あれっ!?斉藤さん、小宮さんもこんな所にいたんですか?」
葵と斉藤が突然聞こえた声に振り返ると、そこには木刀片手に至極楽しそうに笑う沖田の姿があった。葵は木刀の先を沖田に向け、しっかりと構えた。
「とっても楽しそうですね、沖田さん。あなたのその木刀に、いったい何人の隊士達が餌食になったんでしょうね…?」
「いやだなぁ…人聞きの悪い言い方、しないでくださいよぉ…皆さんとは、少し遊んだだけですよ?」
沖田はそう言ってニコニコと笑った。
「本当にそうなら、いいんですけどねぇ…」
「そんなことより、私達も遊びましょうよ!さて、どっちからですか?」
沖田の言葉に葵と斉藤は視線を合わせた。そして次に口を開いたのは葵だった。
「…俺は、この練習を遊びなどとは思っていません。俺はこの練習は実戦だと考えています。なので、実際の斬り合いなどでは2人が卑怯などと言っていられませんからね。こちらは2人掛かりでいかせてもらいますよ。」
「…いいですよ?強い方2人を同時に相手するなんて、めったにできることではありませんからね!」
葵は少し戸惑っている斉藤に、目で構えるように促し、沖田のいる庭へと飛び降りた。
「…頑張るのはいいですが、怪我しない程度でお願いしますよ。沖田さんの本気は怖いですからね。」
「それなら私だけでなく、小宮さんも斉藤さんもですよ。」
斉藤が庭に降りるのを見届けた沖田は次の瞬間、顔に浮かべていた笑みを消した。