新撰組~変えてやる!!
ガッという木刀同士がぶつかり合う鈍い音が辺りに響いた。打ち合っているのは葵と沖田。斉藤は未だ、参戦するか悩んでいるようだ。
「さすが沖田さん…一撃一撃が重たいですねぇ…。少し手加減していただけませんか?」
「これは実戦だと言ったのは、あなたですよ…小宮さん…」
「確かに…そうでしたねっ!!」
葵は木刀に込める力を強めた。葵が沖田と距離をとる。斉藤は木刀を構えたまま、動かない。葵が斉藤に視線を向けても、動こうとはしなかった。
「…無駄ですよ、小宮さん…斉藤さんは動きませんよ。」
「何故、わかるんですか?」
葵の問いに、沖田は不敵な笑みを浮かべた。
「私や、小宮さんよりも、彼の心は…武士に近いんですよ。」
葵は首を傾げた。しかし、再び振り下ろされた沖田の木刀に葵の思考はそこで止まった。
「…まぁ、どっちでもいい。一が加勢しなくても、十分です。」
そう呟き、葵は沖田の木刀をかわした。
長い間打ち合い、葵の息が乱れ始めたのを見て、沖田は口元に笑みを浮かべた。
「…どうしました?」
葵はしっかりと木刀を構え、周囲の物音を聞いた。木刀で打ち合うような音はもう聞こえなかった。
「…私も、今日は沖田さんの玩具になっただけみたいですね。息切れひとつしないとは、流石です。」
「確かに、今日はワクワクしてますね。けど、私はいつも通りですよ?」
葵は斉藤を視界の隅に入れつつ、沖田を見つめた。
「……俺の調子が本調子じゃないと、言いたいのですか?」
「さぁ…?まぁ、次で決めましょう。斉藤さんを相手にするくらいの元気は残しておかないと、いけませんからね。」
葵は大きく息を吸い、沖田だけに集中した。葵は力がほとんど入らなくなった手に精一杯の力を入れて、握り直した。
「…甘く見ていると、痛い目見ますよ?これで、最後です。」
精一杯の力を込めて、葵は沖田に飛びかかった。