新撰組~変えてやる!!
「………なんてな。阿呆やなぁ永倉はんは…俺が女何か連れ込むと思うか?」
「はへっ?」
間抜けな声を出す永倉に葵は吹き出した。山崎の発言には驚いたが、それよりも全員が間抜けな顔になっていたのだ。あの土方でさえだ。笑わずには居られないだろう。山崎も必死に笑いをたえていた。
「くっ…もぅ、アカンわ~…永倉はん…コイツは葵や…」
「ぱっつぁん…すっごい間抜け面!!」
静まり返った広間には、葵と山崎の押し殺したような笑い声だけが響く。
「ぇ…ぁ、え?…葵…?ぇ、嘘だろ?」
「残念、嘘じゃないんだ~…」
葵は永倉の鼻の先をキュッと掴んだ。
「う、うそだぁ~…こんな…こんなのって、詐欺だぁ~!!」
「…ほんとに葵なの?」
鼻をつままれたまま喋る永倉と純粋な目で葵を見上げる藤堂。2人に頷き、永倉の鼻から手を放した。
「なんで葵が女の格好してんだ?」
「それもそうですねぇ…どうしてなんですか?」
驚いた顔の原田と、相変わらず笑顔の沖田。土方はまだ止まっている。それを正気に戻そうと必死になっているのが近藤。それをただ眺めているのが山南。
「少しな…甘味処って、男同士やと入りづらいやん?俺が女装しても良かってんけどな…。たまには男の格好で行きたいんや。休みやし、これぐらい大目に見てくださりますやんな、副長?」
「ぉ…おぉ…」
「ほな、俺らはもう行きます。」
やたらとハイテンションな山崎はそう言い残して屯所を、葵の手を引きながら出て行った。2人が広間から出て行った後、山南が“山崎君にも、春が来ましたかね…”と小さく呟いていたというが、きちんと起動していなかった土方の情報なので、本当のことかは定かではない。