新撰組~変えてやる!!

•1 2010年、夏


 「暑い~…」

 真夏の太陽の光を浴びながら、道を行く少女が1人。その少女は制服姿で自転車をこいでいる。その少女の名は、小宮 葵。16歳の少女だ。何故に、葵がこのような場所にいるか……。それは今朝のことに遡る。


 7月26日 a.m.5:30
 暑さで目覚めた葵は、ストップウォッチを手に、道場へと向かった。道場の中には、小宮家長男の榊が既にいた。

 「おはよー…兄さん。」

 「あぁ…。」

 この家では、毎朝5:35から朝稽古をしている。今の時刻は、5:34。榊は、木刀を3本持って来て、そのうちの1本を葵へ手渡した。

 「ありがと♪」

 葵は、それを受け取り軽く体を動かす。そうしていると、ドタバタと足音が聞こえてきた。その数秒後に道場の入り口に人影が現れた。小宮家次男、叶である。

 「まっ、間に合った~…。」

 叶はホッとしたように答えるが、ある1人が異論を唱えた。

 「……6秒遅刻だ。」

 「6秒!?そんな細かい…。」

 叶が榊の持って来た木刀を手にする。そして舞うような動きでそれを振るった。

 「朝稽古メニュー、3セット始め!」

 榊の声で、3人は木刀の素振りを始めた。



 朝稽古が終わり、今は7:00だ。この時間に3人は、揃って食事をする。そこまでは、いつもと同じだったのだ。今日は、叶が学校の図書室で本を借りて来て欲しいと言い出した。葵はしぶしぶながらもそれを了承したのだった。
< 4 / 209 >

この作品をシェア

pagetop