新撰組~変えてやる!!
山崎は、一度辺りを見回してから口を開いた。
「そうやな。しゃぁなしに女装はすんで?」
葵は“ふーん”と言って山崎と着物を見比べ始めた。
「なんやねんな…」
「ねぇ、幸人…女装してみてよ。」
怪訝そうな顔をしていた山崎の顔が、見る見るうちに驚愕の表情に変わっていく。
「い、嫌やで…。仕事でもないのに…。」
「……、まぁまた今度にしてあげるや。そろそろ夕食の時間でしょ?一緒に行こ?」
山崎は“そうやな、行こ。”と言い、ふらふらと食堂に歩きだした。
食堂についた葵は、今朝と同じ場所に座った。右隣には山崎、左には誰もいない。隊士達がざわざわと喋っている中、幹部達が全員集まった。近藤が咳払いすると、隊士達が静まり返った。それを見計らい、近藤が口を開く。
「今日は、表立った事件は無かったようだな。これも、我々新撰組が見回りをしているからだ。今日はご苦労だった。夜の見回りのものは気を抜かずに頑張ってくれ。私からは以上だ。皆、食べてくれ。」
近藤の言葉で、隊士達は食べ始めた。やはり山崎は無口で、食事を食べ続けていた。と、そこに永倉、藤堂、原田が自分の膳を持ち、葵の元へとやってきた。
「左之、ぱっつぁん、平助!どうしたの?」
「葵が、一人で淋しそうに見えたからって平助と左之が誘ってきた。」
葵の問いに、永倉がいち早く答えた。それに、原田と藤堂が反論する。
「何言ってんだよ、ぱっつぁん!!誘ってきたのはそっちじゃないか。」
「平助の言うとおりだ。何言っやがるんでぇ。」
永倉は2人の言葉を聞いて困ったような顔になった。葵は、そんな3人を見て小さく笑った。
3人が、葵を置き去りにしたまま話を進めていくのを、横で見つめていた。