新撰組~変えてやる!!
夕食も終わり、山崎と共に部屋でくつろいでいた葵は、ふと山崎に尋ねた。
「ねぇ、幸人…芹沢局長のこと、どう思う?」
山崎は、少し考えたようだったが、すぐに答えてくれた。
「善し悪しは別として、新撰組思いの人やと思うで。現に、土方副長もそんなに嫌うてないしな。」
「じゃあ、新見副長は?」
この質問には、山崎の肩がピクリと動いた。しばらく、沈黙が流れたが、それは山崎によって破られた。
「…俺は…あいつのこと……嫌いや…あんの、腰巾着め!」
葵は、その言葉を聞いてほくそ笑んだ。葵は、昼間、藤堂と出掛ける前にしていた土方への質問の答えを聞きに、土方の部屋へと向かった。
「土方副長…」
土方の部屋には明かりがついており、中に土方がいるのは、安易に想像ができた。
「……入れ…」
葵は、土方の返事を聞き、部屋の中へと足を踏み入れた。中に入り、しっかりと戸を締め、土方の前に座る。
「探りを入れる相手は、どちらにしますか?」
葵は、なかなか喋り出そうとしない土方に話を切り出した。
「……あぁ…。ー」
土方は見張りの対象を葵に告げた。その答えを聞き、葵は不気味な笑みを作った。
“新見の方を見張れ。ただし、感づかれるな。これは、副長命令だ。”
歴史の歯車が歪み、狂い出すのは、もう少し先のこと。