新撰組~変えてやる!!
•1 見回り
「はぁ~…」
朝食を終えた葵は屯所の庭を歩きながら、大きな溜息を吐いた。
時を遡って、朝の事…
「おはようございます、芹沢局長!…オハヨウゴザイマス、新見副長。」
葵は昨日と同じように、芹沢と新見に挨拶をし、席に向かおうとした。
「小宮…少し待て…」
「なんでしょうか?」
芹沢に呼び止められ、葵は芹沢の方へ向き直った。
「今日は、小姓の仕事は無い。別に出掛ける用事もない。沖田に隊務の事でも教えてもらってこい。」
「ぁ…ありがとうございます!」
芹沢は、ふっと微笑んだ。まるで、自分の子供でも見ているような目で。
「土方にはもう伝えてあるから、昼の見回りには入れてもらえるだろう。じゃぁな。」
芹沢は、それだけ言って去っていく。
「ありがとうございます、芹沢局長!!」
葵は芹沢の背にそれだけ言って、席へついた。隣には“林 幸人”こと、のちの“山崎 丞”が無口のまま座っている。
「幸人…隊服って、いつもらえる?」
「せやな…、丁度永倉はんのと同じ位の大きさのやつが残ってたはずやし、今日にはもらえるんとちゃう?」
てっきり、答えてくれないと思っていた山崎が答えたことに、葵は驚いた。
「そう?ならいいや。」
山崎は少し驚いたような顔をしていた。山崎の隣に座っている隊士はこそこそと話をしていた。
“って、よく考えたら新見の動向が監視出来ないや…”
葵は肩を落とした。いきなり肩を落とした葵に、山崎は驚いたようだった。