新撰組~変えてやる!!
•2 お梅
「おはようございます、芹沢局長!!……オハヨウゴザイマス、新見副長。」
「小宮ッ、てめぇっ!!」
「やめないか、新見。小宮もだ。」
葵の朝の芹沢らへの挨拶は、屯所内で既に名物となりつつあった。
「小宮、今日はお前と2人で町に出たい。いいか?」
「ぇ?お、俺とですか?構いませんが、どうしてですか?」
葵は、驚きに目を見開いた。それは新見も同じ。ただ1人、芹沢だけは微笑んでいた。
「送り物をしたい女がいるのだが、それを決めるのについてきて欲しい。」
そう言った芹沢の目は、驚くほどに優しかった。
「…分かりました。お供します。」
「うむ!!では、朝食後に門の所でな!」
それだけ言って、芹沢は去っていった。葵は、山崎の隣に座った。
「幸人、寝てなくて大丈夫なのか?まだ、隈が残ってる。」
「大丈夫や。寝たら、楽になったさかいに、心配せんでええ。」
山崎は、葵にブイサインをしてみせた。葵は、それに安心したように笑った。
「ぁ……斉藤はん。」
「ぇ?あっ、ハジメ!!」
斉藤は自身の膳を持って、葵の隣へ座った。葵は、“皆の前で無口な2人に挟まれてしまった。”と苦笑いした。斉藤に続き、永倉、藤堂、原田が葵の前に座った。
「ぱっつぁん、平助、左之!!おはよ!!」
「葵、一さんにも勝ったんだって?」
藤堂は目を輝かせて聞いてきた。それに永倉も乗っかってくる。
「うん……まぁ…」
「あぁ、俺は葵に負けた。」
言い辛そうにしていた葵に代わり、斉藤が2人に言った。
「すっげぇ!あぁ~…俺も試合、申し込もうかなぁ~…。」
永倉は羨ましそうに、斉藤を見つめた。
「また今度、相手して?」
葵は、そう言ってニッコリと笑い、食事に手をつけた。