新撰組~変えてやる!!
朝食も終え、出掛ける準備を終えた葵は、芹沢の待つ門へと急いだ。
「おぉ、小宮、こっちだ!」
「芹沢局長!!すいません…遅れてしまって…。」
芹沢はすでに門の所で待っていた。
「いい。儂の用事だからな。行くぞ。」
「はい!!」
芹沢は、葵の返事を聞き、歩きだした。
町の中で簪を見ていた葵は、1本の簪に目を奪われた。その簪は、瑠璃色の珠が付いており、シンプルなデザインだったが、綺麗に見えた。
「いい物が見つかったか?」
葵は芹沢の声で我に返った。
「いえ…まだ……。」
そうして、目を動かしたときにふと綺麗な櫛が映った。葵はそれを手に取った。
「……梅の、花…きれい…」
「ほぅ…、梅に合いそうだな…。よし、それにしよう。」
葵は芹沢に、梅の花の模様を施してある櫛を渡した。
帰り道、芹沢は微笑んでいた。それほどに、“梅”という人物に惹かれているのだろう。見ているこちらまで、笑顔になった。
「それでは局長、俺はここで…」
屯所の入り口で別れようとした葵を、芹沢は引き止めた。そして、葵は部屋にまで連れて行かれた。
「い、いかがなさいましたか?」
「その……だな…、もうすぐ、梅が来るのだが……儂ひとりでは、うまく渡せそうにないのだ……それで…その……」
葵は正直驚いた。が、優しく芹沢に微笑んだ。
「お邪魔でなければ、俺もここにいてもいいですか?俺も、お梅さんに会ってみたいです。」
「ぉ………おお!!そうか、そうか!ならばここに居るが好い!!」
芹沢は盛大に笑った。
「芹沢はん…入りますえ?」
襖の外から女性の声がしたと思ったと同時に、その襖が開いた。