新撰組~変えてやる!!
「副長!!お話があります!」
葵は、許可も取らずに襖を開けた。途端に5つの視線が突き刺さった。
「左之、沖田さん、山南副長…それに近藤局長も…。なぜ土方副長の部屋に…?」
4人はうつむいた。ただ1人、土方だけは葵を見据えたままだった。
「……なんだ?」
土方の目が、ギラリと鋭く光った。それで、葵は悟った。いや、本当は分かっていた。“芹沢暗殺計画を立てていたのだ”と。
「っ…!!土方副長…。そう、か…そうですよね…ハハッ…俺は何を期待していたんだろう…あなた方にとって、芹沢局長は邪魔な存在。」
「葵!えぇ加減にしぃや!」
山崎が、肩で息をしながら葵の腕を掴んだ。
「そうか…ん?その紙……そうか、局中法度も、もう…」
土方の表情が険しくなった。“出て行け”といわんばかりの形相でこちらを睨み付けている。
「…失礼しました。烝、あなたの言う通りでしたね。もう、手遅れかもしれません。部屋に戻りましょう。っと、沖田さん、見回りはまた門の所で構いませんね?」
「ええ、結構です。」
葵は、ふわりと微笑み、その場を後にした。作り笑いは便利なものだと痛感した葵だった。
「じゃあ、見回りに行ってくるよ。」
夕食に顔を出さなかった葵は、山崎に言ってから、その部屋を出た。
「…葵……気ぃ付けや…」
葵は、山崎に返事もせずに部屋を出た。空に浮かぶ月はきれいな円を描いている。その月を見上げながら葵は門まで歩いた。そこには誰もおらず、葵はただ月を見つめていた。
「遅れて、申し訳ありません。って、あれ?小宮さん1人ですか?」
数分後に現れたのは沖田だった。葵は、沖田の問いに小さく頷くことで答えた。
「まったく……私よりも遅れるとは…仕方がありませんね。後でみっちりとお仕置きしておきます。」
沖田は怪しげに微笑んだ。
「今夜は2人で見回りましょう。斬りかかられることなんて、滅多にありませんから。」
沖田は先程とは違い、少年のようにニッコリ笑った。