新撰組~変えてやる!!

 「うぁ……苦っ!!」

 葵は、土方から渡された薬を飲んで、そう言った。

 「葵、我慢しぃや。えっと…あれや、あれ!!“良薬は口に苦し”や。」

 葵は、その苦さに涙目になった目を山崎に向けながら頷いた。

 「俺、後始末してくるわ。副長、葵の事頼んだで?」

 「あぁ…」

 山崎は襖を開けて、一瞬で闇に姿を消した。

 「俺、部屋に戻ります。」

 「だめだ。」

 土方は立ち上がろうとした葵を、たった一言で引きとめた。

 「…斉藤です。失礼します。副長、葵はいますか。」

 「あぁ…どうした、斉藤…」

 開け放されたままの襖から顔を覗かせたのは斉藤だった。

 「葵、刀の手入れを教えに来たが…その姿、どうしたんだ?」

 「あぁ…斬ったんだと…」

 斉藤の問いかけに、土方が淡々と答えた。

 「そうか…葵、俺の部屋に来い。副長、こいつ、借りますよ?」

 「おぅ。」

 斉藤は土方の返事を聞いてから、葵の腕を持って無理やり立ち上がらせた。そして、そのまま斉藤の部屋らしき場所に入れられた。

 「小宮さ~ん!!」

 中にはなぜか沖田の姿。葵の後ろで斉藤が大きな溜め息をついた。

 「沖田さん…何故ここに?」

 「えへっ♪さぁ~…どうしてでしょうかね~…。」

 沖田は葵と斉藤にニッコリと微笑んだ。

 「兎に角、俺の部屋から出て行ってください。これから葵に、手入れの仕方を教えるのですから。」

 斉藤は、有無を言わせないとでもいうような声で、沖田に言った。

 
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