新撰組~変えてやる!!
「う~ん…少し早かったかな…新見副長、遅いなぁ…」
葵は門の辺りをうろうろしながら、新見を待っていた。
「…誰が遅いと?」
「うわぁ!」
いきなり声を掛けられたことに驚いて、葵は飛び上がってしまった。
「に、新見副長…驚かさないでください。いつから居たんですか?」
葵は心臓の辺りを押さえながら、新見を睨みつけた。
「ん?“遅いなぁ”と言っていた辺りからだが…」
「そうでしたか…」
葵はふぅと大きな息を吐いた。
「…?そうか。気は進まんが、芹沢局長の命令だ。とっとと、終わらせるぞ。」
新見は葵を見てから、すたすたと歩き出した。葵は、新見の後ろを小走りでついていっていた。新見は、普通に歩いているのだが、男と女の体の造りからか、新見の歩く速度は葵よりも2倍程速かった。人気のない辺りまで来た頃、新見は葵が遅れてきているのに気が付いた。
「…遅いぞ、小宮!」
「そ、そんなこと言われましても~!!もう少し、ゆっくり歩いてください~…」
新見は、葵の心底疲れ切ったような声に立ち止まった。
「困った奴だ。まるで女のようではないか……」
葵は思わず苦笑した。
「あと、少しだ。辛抱しろ。」
そう言って新見は再び歩き出した。今度は、少し歩く速さを緩めて…。葵は再び、新見の斜め後ろを小走りでついていった。
「主人、入るぞ!!」
新見は店らしき所へと入った。葵もそれに続き入った。