新撰組~変えてやる!!
一方、葵達が出掛けた後の屯所内では…
「芹沢さん、失礼しますよ。」
芹沢の部屋に珍しい人物が2人、訪ねていたようだ。
「ん?…珍しいな。近藤に土方ではないか。入れ。」
「では、失礼。」
近藤と土方は部屋に入り、芹沢の目の前に座った。芹沢は、2人の表情から、何かがあることを察し、真面目な表現になった。
「……なんだ?」
近藤と土方は、芹沢の威圧感に膝を正した。流石は、武士とでも言おうか。
「はっ!!今日は、新しい規律のことで許可を頂きたいと、参りました所存。」
「ほぅ……申せ…。」
近藤と土方は互いに目配せし合い、土方は芹沢の目の前に1枚の紙を置いた。そしてその内容を読み上げる。
「“一、士道ニ背ク間敷事。
一、局ヲ脱スルヲ不許。
一、勝手ニ金策致スベカラズ。
一、勝手ニ訴訟取扱ベカラズ。
右条々相背候者。切腹申付ベク候也。”といったものなのですが、許可して頂けますか?」
土方は、“勝手ニ金策致スベカラズ”と言った時に、芹沢の顔が少し引きつるのを見た。芹沢は、考え込むように腕を組み、目を閉じてしまった。
「…………よし、いいだろう。許可してやろう。」
土方達が諦めかけた時、芹沢が突然許可を出した。近藤と土方は芹沢に頭を下げた。が、芹沢は続けて言った。
「ただし、儂の小姓の小宮は、殺すな。それが、“局中法度”の許可を出す条件だ。よいな。」
芹沢は、念を押すように言った。
「は…。承知致した。」
もう一度、土方と近藤は深く頭を下げた。土方が先に部屋を出、近藤もそれに続こうとした時、聞こえるか聞こえないかという程度の声が近藤の耳に入った。
「……なぁ、近藤よ………最期は、武士らしく逝きたいものだなぁ…」
そう言った芹沢の声は少し震えていた。近藤は、敢えて聞こえなかったかのように芹沢の部屋を去った。