新撰組~変えてやる!!

 再び所は変わって…


 「おぅ!新見か!!久しいな…。最近は芹沢だけでよく来ていたからな。」

 中には、1人の女。この時代ではありえない程、威勢のよい女だった。葵は、新見の後ろでその女を観察するように見ていた。すると、その女が葵に気付いたようだ。

 「ん?…おい、新見…そいつは?」

 「小宮だ。芹沢局長の小姓。」

 新見は葵を前に押し出すようにその女の前に出した。

 「小宮 葵です…。」

 「おう!!アタイは雫!性格とは全然違うってよく言われるけど、アタイは結構気に入ってんだ♪よろしくな、小宮!!」

 雫<シズク>と名乗った女はガシッと葵の手を握り、人当たりの良い笑顔で笑った。

 「で、新見よぉ…ここに連れて来たってことは、この子は芹沢のお気に入りかい?意志の強そうな目だ。いかにも芹沢が気だ入りそうだしな!」

 雫は葵の目を見ながら言った。

 「うるせぇ…さっさと渡しな!」

 新見は面白くないとでも言いたげにそっぽ向いてしまった。

 「ははっ!新見も気に入ってんのか!こいつは意外だな~…」

 「うっせぇ!早く持って来い!」

 雫が楽しそうに笑う。新見が、それを否定するように大きな声でそう言う。

 「へいへい…分かりましたよ~…小宮、一緒に来い!見せてやる!」

 雫は葵の手首を掴み、奥の方へと連れて行った。奥の部屋は、折れた刀や槍が大量にあった。

 「ここは……?」

 「ここがアタイの仕事場!え~っとね…確かここらに…おっ、あったあった!芹沢の鉄扇と、梅とかいう奴への贈り物の簪!確かに渡したよ!」

 雫は葵の手に、それぞれ布にくるまれた鉄扇と簪を乗せた。そしてニッと笑った。

 「え?あ、はい。」

 「あいつらの事、頼んだよ!!芹沢も、新見もさ、根はいい奴なんだよ?」

 葵は雫の顔を不思議そうに眺めた。

 「アタイさ、2人に助けられたことがあるんだ。」

 雫がニッコリと笑ったのと同時に、新見が葵達を呼んだ。

 「今度、ゆっくり話してやるよ!!」

 雫は新見のいる入口の方へと歩いて行った。


 


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