新撰組~変えてやる!!
「土方君…山崎君の言うことが正しいなら…やはり彼女はここに置くべきではないと思う。ここは、…この場所は“死”を呼びよせる場所だ。」
「だがな、山南さん。あいつにはここ以外に居場所がねぇ。…それは山南さんも分かっていることだろう?」
土方は山南の手に持たれたままの紙を見ながら自分に言い聞かせるように呟いた。
「…それは…分かっています…。彼女だけ特別扱いできないことも…せめて、隊士ではなかったのなら…」
山南は視線を土方の握りしめている手に移し、呟いた。
「失礼します。芹沢局長、新見副長、いますか?」
「小宮!!入れ。」
葵は芹沢の声に音をたてないよう、襖を開けた。
「奴等は、なんと?」
葵は芹沢と新見の前に襖をしっかりと閉めてから座った。
「“9月13日の昼、芹沢 鴨、新見 錦の切腹を行う。介錯人の希望があれば、直接言いに来るように。なければ、沖田と斉藤にする。”とのことです。…よろしかったのですか?」
「うむ。よいのだ。…ところで小宮よ…。一勝負、しないか?」
「では、俺も!!」
葵は困ったように目を伏せた。
「しかし……分かりました。」
葵は芹沢達の真剣な眼差しに根負けしたように手を上げた。
「ならば道場に行くぞ!」
芹沢は勢いよく立ちあがり、軽い足取りでスタスタと行ってしまった。
「あぁ~…待って下さい、芹沢局長~!!」
葵は芹沢を追い掛けながら、道場へと向かった。
「ぁ…一だ。稽古の途中かな…?」
葵は道場に中を覗き、呟いた。“また、後でにしませんか?”と声をかけようと思った時、葵の横を大きめの身体が通り過ぎた。
「せ、芹沢局長!!」
葵の大きな声に、道場の中にいた隊士や斉藤が振り向いた。