新撰組~変えてやる!!

 「…っ、ありがとうございました!!」

 葵は、芹沢に深く礼をした。

 「うむ!これほどに心が躍ったのは久々だ。…礼を言う。」

 芹沢はニッと笑った。何もかもをふっきれたようなその笑みは、葵には少年が笑っているように見えた。

 「小宮!!次は俺の相手だぞ!!」

 新見は、待ちきれないとばかりに木刀をぶんぶんと振り回していた。…正直、危なっかしい。葵は新見に、芹沢が葵に見せたような不敵な笑みを見せた。

 「はいはい…一、合図お願い。」

 「あぁ…。」

 葵は新見に挑発するような眼差しを送った。

 「っ!!…てめぇは…毎度、毎度癇に障るような…。フフッ…いいだろう…その挑発、乗ってやるよ…。」

 新見は不気味に笑った。

 「では、…はじめ!!」

 葵は、斉藤の声が聞こえたと同時に新見の頭を狙って、木刀を振りかざした。もちろん、その攻撃はかわされた。

 「へぇ~…けっこうできますね…。」

 「当たり前ぇだ!あんな見え見えの太刀筋、かわせねぇわけないな!!」

 新見は、ふんっと得意げに鼻を鳴らした。葵も、挑発するように鼻を鳴らした。

 「今度は、こっちからだ!!」

 新見は、素早く葵に打ち掛かった。葵は予想外の動きの速さに、慌てて木刀で受けた。新見は、葵が体勢を整えきれていないのを好機とみたのか、ぐっと木刀に入れる力を強めた。

 「っ…!?」

 葵は新見に押され、ズッと足が後ろにずれるのを感じた。新見は葵がしたように、不敵な笑みを作った。

 「~~!!」

 葵は、一か八かの勝負に出ることにした。葵は、新見にされるがままになった。


 
< 74 / 209 >

この作品をシェア

pagetop