新撰組~変えてやる!!
•6 新見 錦
「へぇ…あの芹沢さんにも勝ったのか!?すげぇじゃねぇか!!…しっかし妙だよな~…あの人が道場に顔出したなんてよ…どういう風の吹きまわしだ?」
葵は、丁度非番だった永倉と共に昼食を食べながら、先程の話をしていた。元々、芹沢達と永倉は同門である。
「まぁ…色々あってね…。今日にでも分かるよ。」
葵は曖昧に微笑んだ。
「…?まあいいや。ところでさ!平気なのか?」
葵は、永倉の言葉が何を示しているのか分からずに、首を傾げた。
「……怪我してんだろ?その…今朝は、悪かった…反省してる…」
葵は、包帯の巻かれた左手に視線を落とした。
「…平気!!気にしないで!」
葵は無理に笑って、膳を置いた。
「…ごちそうさま…」
斉藤と永倉は、顔を見合わせた。
「もういいのか?」
「ホントに腹減って死んじまうぞ?」
葵は、斉藤達に視線を移した。
「大丈夫!!数日食べなかった位で、死んだりしないよ。」
葵は安心させるようにニッコリと笑った。
「……そうか。」
「うん!!…ちょっと、土方副長の所に行ってくる。」
葵は、その場から逃げだすように走っていった。
「俺…また悪いことでも言ったか?」
「…どうでしょうね…」
葵が去った後、原田達が見回りから帰るまで、永倉は頭を抱えたまま唸っていたという。
「おい!!総司!!いってぇ何回言えば……って…小宮!?」
葵は、声も掛けずに土方の部屋の襖を開けた。その為、土方は沖田が来たのだと勘違いしたようだった。
「…あの…落ち着くまで、ここにいてもいいですか?」
土方は暫く考えていたが、小さく頷いた。葵はそれを確認して、その場に座り込んだ。