新撰組~変えてやる!!

 「土方さん!!報告に来たぜ。…葵、どうした?こんなとこで…。」

 「左之には関係ない。ほっといて。」

 いきなり来た原田に、葵は素っ気なく返事をした。

 「なんでぃ…俺、何か悪いことでもしたか?」

 「……別に…。じゃあな。」

 そう言って、葵は土方の部屋を出た。辺りが赤く染まっていることから、夕方になっているのが分かる。土方の部屋に向かったのは、まだ日が高いうちだった。

 「何時の間に……」

 葵はそれ程までに、土方の部屋にいたことに驚きながらも、ぼーっと暗くなりつつある空を見上げていた。

 「葵…?どないした?」

 葵は、突然後ろから聞こえた声に、ゆっくりと振り返った。

 「…なんでもない。…丞、おかえり。」

 「ぉ…おぅ…」

 葵は山崎に、薄く微笑んだ。山崎は葵の様子に違和感を感じたのか、曖昧な返事を返した。

 「じゃあね。そろそろ、芹沢局長も帰ってきてるだろうし。」

 葵は山崎の前を通り過ぎた。

 「葵っ!!」

 山崎が葵を切羽詰まったように呼び、葵は軽く山崎の方を振り返った。

 「…っ……。すまん。何もない。呼びとめて悪かったな…。」

 「…?そう、じゃあね。」

 葵は再び、山崎に背を向けて歩き出した。

 「葵…何をそんなに恐れとるんや…」

 葵が見えなくなってから、山崎は小さく呟いた。彼のその呟きは、静かすぎる屯所の庭に、やけに大きく響いた気がした。



 
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