新撰組~変えてやる!!

 「おはようございます。土方副長、近藤局長。…芹沢局長からの伝言です。」

 葵は、まずは2人に伝えた。こうしておけば、局長命令として皆に伝えることも出来ると考えてのことだった。

 「…そうか。皆には、私から言おう。」

 近藤は葵が期待した通り、皆に伝えてくれるようだ。葵は、深く頭を下げ、大切に抱えたままの風呂敷を部屋に置きに行くために立ち上がった。



 葵は、部屋の隅にその風呂敷を置き、再び広間へと戻った。部屋にも、広間にもいない山崎を心配しながらも、頭の中では芹沢と新見のことを考えていた。

 「…葵、どうかしたか?」

 「…一…、大丈夫だよ!」

 葵はニコッと笑い、いつも山崎が座っている席を見た。

 「皆!!聞いてくれ!!」

 近藤の大きな声に、皆の視線が近藤に集まる。それを確認してから近藤は話し始めた。

 「皆、今日は芹沢さんの部屋に近付くな。あの人も何か考えるところがあるのだろう。以上だ。」

 前後がつかみにくい。隊士達は、案の定首を傾げている。それを見かねた土方が口を開く。

 「明日は、9月13日。何の日かくれぇ覚えてんな。今日くれぇはしたいようにさせてやれ。いいな。」

 さすが土方。隊士達も一気に納得した。隊士達は次々と食べ始めていった。

 「葵?どうした。食べないのか?無理してまでとは言わないが、皆が心配する。」

 斉藤は、そこまで言って近藤達の方を指差した。そこに視線を移せば、近藤は凝視、山南は箸は持っているものの動いていない。土方に至っては、ちらちらと葵を見ている。ばれていないとでも思っているのだろうか。明らかに挙動不審な土方を見て、葵はクスッと笑った。

 「ふふっ…あんな風にされちゃ、食べないわけにいかないね。」

 葵は斉藤に笑い掛けてから食べ始めた。視界の端に、近藤と山南が安心したように食べ始める姿がうつり、また葵はクスッと笑った。


 
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