新撰組~変えてやる!!

 「あれ?新見副長、どうしたんですか?芹沢局長には、夜しか面会できませんよ?」

 「小宮か…。別に、面会という訳ではない。……なぁ、あいつのとこにいかねぇか?」

 葵は首を傾げた。

 「あいつって、誰ですか?」

 「…雫だ。」

 葵は、“あぁ…”と思い出したように声を上げた。

 「…どうする?行くか?」

 「はい。お願いします。」

 葵が“はい”と答えたことに、新見は満足そうに笑った。葵は、なぜか満足げな表情をした新見を不思議そうに見つめた。



 「…雫さん!!こんにちは!」

 「ぉお!!小宮じゃないか!新見も一緒に来たのか!?」

 雫は突然の訪問者にも、人当たりのよい笑顔で招き入れた。顔見知りということもあったのかもしれないが…。

 「…わりぃかよ…大体だな、お前、仮にも女だろうがよ!もっと女らしくしろよ。ただでさえ少ねぇ嫁の貰い手もなくなっちまうぞ?」

 「ぅ、うるさい!アタイのことなんか、どうでもいいだろ!」

 雫はべーっと舌を出した。

 「人が心配してやってんのによ…まぁいいさ。それより、こいつ、預かっててくれねぇか?一刻も掛からねぇからよ。」

 「もちろん!任しておきな!」

 雫は頼もしく胸の辺りをドンと叩いた。

 「小宮、来て。前に言ってた話、してやるよ。半刻くらいで終わる。」

 雫は言ってから葵の腕を引っ張り、奥へと連れて行った。新見は、葵達の姿が見えなくなってから、店を出て行った。


 「さて、どっから話そうね~…つまんないかもしれないけど、アタイの身の上話からがいいかもね。」

 適当な場所に男のようにあぐらをかいて座った。葵も雫の隣に座り、手を組んだ。

 
< 83 / 209 >

この作品をシェア

pagetop