新撰組~変えてやる!!
•7 壬生浪士組~ミブロ~
「アタイはさ、貧しい農家で生まれたんだ。その日その日を生きるのに必死でね、おっとぉやおっかぁは薬草を見つけては、町に売りによく行っていたよ。それくらい貧しかった。
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6つになった雫は、両親に薬草などの知恵を教えてもらっていた。貧しいわりに、ある程度幸せな生活を送っていたのだ。そんな日がずっと続くと、雫は信じていた。
文久3年ー雫が22になった年のこと。雫は、両親が採った薬草を売りに町に出ていた。雫は僅かなお金と共に山奥にある家へと戻ったのだ。
「……ぇ……?」
雫は、自分の目を疑った。家に戻り、まず目に入ったのは、父が血を流し倒れているところだった。見渡せば、母も血を流して倒れている。雫は、僅かな望みをかけて父に触った。…が、雫の願いも虚しく、父の体は冷たかった。慌てて母にも触れてみるが、やはり冷たくなっていた。
「おっとぉ…おっかぁ……どうして、何でこんなことに…」
雫は夜になるまで、その場を動くことができなかった。次に気が付いたときには、森の中にいた。自分がどこに居るのかも分からなかった。ただ、遥か遠くの方で赤い何かが揺れていた。
雫はただ歩き続けた。僅かな金で食べ物を買い、ひたすら歩いた。ついに力尽きて辿り着いたのが、この京だった。道端で倒れていた雫の周りには、人だかりができていた。それを分け入り、雫を救ったのが、芹沢と新見だった。2人は、近くの廃屋を見つけ、そこに雫を寝かせた。暫くの間、彼らは交代で昼夜を問わず雫の看病をし続けたのだ。
「ぁ…!?芹沢さん!こいつ、目が覚めましたよ!!」
「…起きたか。どうだ?」
雫は、目の前にいる男2人に戸惑った。それに、言葉を発そうとはするのだが声が出ないのだ。芹沢は、それにすぐ気が付いたようで近くにあった湯呑みを雫に渡した。中には水が入っていた。雫はそれを一気に飲んだ。
「…あんがと…ところで、あんさん達、侍だろ?なしてアタイを助けた?」
「何故ときたか…不思議なことを言う女だことよ…のぅ、新見。」
新見は、頷いた。
「…あんなところに倒れられてちゃ、ほっとこうにもほっとけないからな。それに、俺達だつて、壬生浪士組の一員ですからね。」