新撰組~変えてやる!!
「う、嘘…だろ?はは、冗談きついって…なぁ、新見、嘘だよな?嘘って言えよ!!」
雫は、新見に掴みかかった。
「……すまん…明日、切腹だ。」
雫の手が力なく滑り落ちた。
「…そうか…明日…」
新見は、俯いてしまった雫の頭にポンっと手を乗せて無言のまま出ていってしまった。
「…ごめんなさい。先に、お話ししておけばよかったですね。すいません。」
「…小宮が悪いわけじゃない。ただ、気持ちの整理が出来ないんだ。…行って。新見が待っているだろ?」
葵は何も言えず、軽く頭を下げて店から出た。新見が歩き出し、その後を数歩ほど歩いたところで、先程までいた場所から耳を塞ぎたくなるほど悲痛な泣き声が聞こえてきたのだった。
「よしっ!!甘味処に行くぞ!」
町中を行くあてもなく歩いていたところ、新見が突然そんな事を言い出した。
「何故ですか?」
葵が不思議に思って聞いた。しかし、次に新見から出た言葉に葵は驚くことになる。
「そりゃぁ、女は甘いもんが好きだからな!」
葵には、時間が止まったようにさえ思えた。新見が言った、“女”という言葉が、頭の中で何度も繰り返される。
「なぜ…?」
「気付いていないとでも思っていたか?」
新見が不敵な笑みを浮かべる。その表情に、言葉に、さらに葵は混乱した。
「まぁ、こんなところじゃな…とりあえず行くぞ。」
葵は、スタスタと歩き出した新見の後ろをついて行った。
「…で、どうして分かったんですか?」
奥の方の、人目につきにくい席に葵と新見は座った。新見が団子を頼む声を聞きながら、葵は考えていた。少し冷静になった葵は、新見の目を真っ直ぐに見て言った。
「…喉仏、声、仕草。あとは、…勘だ。」
葵は苦笑いした。