新撰組~変えてやる!!
「そうですか。仕草に出てましたか…これから気をつけないと。」
新見は懐に手を入れ、何かを取り出した。小さい袋だ。
「…なんですか?これ…」
「“匂い袋”だ。やるよ。」
葵は新見に言われるままに、手を出した。仄かに香の香りが鼻をかすめ、葵は嬉しそうに目を細めた。
「…気に入ったか?」
葵は小さく頷いた。
「その程度なら、ばれないだろ。結構、探すのに苦労…ぃや、今のは…」
新見は、突然慌てだした。葵は、匂い袋をギュッと握り、胸の辺りに持っていった。
「わざわざ、ありがとうございます。大事にしますね。」
葵はニコッと笑った。新見は、ばつが悪そうに俯いた。髪の間から覗く耳が少し赤いのは見間違いだと、葵は自分に言い聞かせた。
「…ったく…人目につきにくい席でよかったぜ…」
「何か言いました?」
「いや…何にも。」
葵は首を傾げながら、お茶をすすった。
「団子2つ、お待ちどうさま。どうぞ、ごゆっくり…。」
「よし、食べろ。」
新見は、団子が2皿来たのを確認してから1つを葵の方へと押し出した。
「ありがとうございます。」
葵は団子を1本手に持ち、口に入れた。新見も、同じように口に団子を入れる。食べ終えて、屯所に戻る頃には、もう日が沈みかけていた。
「芹沢局長、小宮です。入りますよ。」
「…小宮か。入れ。」
葵は襖を開けて、赤面した。梅が、芹沢の胸にもたれかかるようにして眠っていたのである。芹沢も、梅の髪を優しく撫でている。よく見てみると、梅の目が赤く腫れている。
「お梅さん、泣き疲れて寝てしまったのですか?」
「あぁ…」