新撰組~変えてやる!!
「…小宮、頼みがある。いいか?」
「頼みですか?」
芹沢は、小さく頷いた。そして、優しい目で梅を見た。
「…梅を、送ってやってくれるか?」
「はい。もちろんです。」
芹沢は、葵の答えに小さく微笑んだ。
「…人というのは、短期間でも変われるものなのだな…。」
芹沢は自嘲ぎみに笑い、梅の柔らかそうな唇に、自分のそれを重ねた。その行動に葵は赤面した。
「…んっ……」
小さな声と共に、梅は薄く目を開けた。凄く色っぽくみえるのは、気のせいではないだろう。
「…芹沢はん…」
「起きたか。もう暗い。帰れるか?」
梅は優雅に頷いた。
「よし。小宮、送ってやってくれ。」
「はい!」
葵は“少し待っていてください。”と言い残し、芹沢の部屋を出た。向かう先は自室である。急ぎ足で自室まで行き、刀を手に芹沢の部屋へと戻った。
「戻りました。お梅さん、行きましょう。夜道の女の一人歩きは、危ないですからね。」
お梅は、名残惜しそうに芹沢の目を見つめた。
「ほら、もう行け!」
芹沢は、突き放すように言い放った。梅は静かに目を伏せた。そして口を開く。
「……芹沢はん、次は…次は一緒になってや!約束やよ!!」
「…さあな。しかし今は、生きろ…。」
梅は少し不満そうな表情になったが、にっこりと笑った。
「そんな事言って~…芹沢はん、うちに惚れてるもの。」
「いいから、行け。」
梅は、一度ギュッと芹沢に抱きついてから振り返りもせずにスタスタと歩いて行ってしまった。必然的に、葵がそれを追うことになる。梅を追いかけながら、葵は何時の間にか屯所の外を歩いていた。