新撰組~変えてやる!!

 「…葵、あんた、よぅあんなこと言えたなぁ。」

 「え?」

 葵は、身に覚えのないことに、首を傾げた。

 「ほら“夜道の女の一人歩きは危ない”とか言ってたやないの。」

 「あぁ、あれですか。本当のことじゃないですか。男がいた方が少しは安心出来るでしょう?」

 葵は腰に差した刀をポンと叩いた。

 「何、言ってんの?葵も女、うちも女。女の二人歩きになってる。」

 葵は、歩くのを止めてしまった。梅の言った言葉にそれほどまでの衝撃を受けたのだ。

 「気付いてないと思ってた?」

 「…はい。」

 再び葵は歩き出した。梅は葵にニコッと笑った。

 「まぁ、葵は強いみたいやし、大丈夫やと思うけどね。」

 「すみません…。」

 葵は左手を刀に添え、梅に謝った。

 「ええんよ。…うちはもう、すぐそこやからここでいい。ありがとう、葵。」

 「分かりました。気を付けてくださいね。では、…」

 葵は来た道を再び戻り始めた。

 「葵!!次は、“姉さん”て呼んでや。」

 いきなりの梅の大声に驚きながらも、葵は梅に笑った。



 葵は屯所に戻り、芹沢の部屋へと向かった。中からは新見と芹沢の声が聞こえる。葵は一呼吸置いてから、声を掛けた。

 「…芹沢局長~、新見副長~、入りますよ~?」

 葵は襖を開き、そのまま驚きで固まってしまった。それもそのはず。芹沢の部屋の中には、足の踏み場もないほどに酒が置いてあったのだ。

 「小宮~♪帰ったかぁ~♪」

 「梅をちゃんと、送り届けたのだな~?小宮~?」

 更には、芹沢と新見が完全に酒に酔っているのを見て、うなだれてしまった。

 「……酔ってますね…。……二日酔いしても知りませんよ?」

 
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