新撰組~変えてやる!!
「いって~…って、うおっ!新撰組じゃねぇかよ!」
葵がぶつかった男は、追い掛けて来る男達を“新撰組”と、確かに言っていた。葵はまた、立ち止まって考え始めた。
「……新撰組…それにあの男……どこかで見たような………」
葵が考え込んでいる間に浅葱色の羽織りを着た男の1人が葵の肩を掴んだ。それとほぼ同時に、葵は男の名を思い出した。
「ハァッ、ハァッ…つ、捕まえたぞ!」
男が言葉を言い終えるとほぼ同時に葵が騒ぎ出した。
「あぁ~!!桂…桂 小五郎だ~♪やっぱり逃げ上手なんだ~♪さっすが、逃げの小五郎だね!」
葵の肩を掴んでいる男が、桂の逃げた方向を驚いたように見た。もちろん、桂の姿はもうどこにも無いのだが……。
「……くそっ!逃がしたか………。とにかく、この童(ワッパ)だけでも、屯所に連れて行くか……行くぞ!お前ら!!」
葵を捕まえている男が、誰かに呼び掛けると、“おう!”と複数の返事が返ってきた。葵は、その“誰か”の顔を確認する前に、男の肩に担がれていた。そして、男はそのまま足早に歩き始めた。