新撰組~変えてやる!!
芹沢と新見が絶命したのを確認し、近藤が涙を流しながら口を開く。
「…武士として、立派な最後でした。芹沢さん、新見さん…」
そう言って近藤は大泣きし出した。永倉もつらそうに眉を寄せ、呟く。
「…惜しい人達を、無くした。新撰組としても大きな“損失”だな。…立派な最期でした。」
山南も土方さえも声を押し殺し泣く中、葵は泣けずにいた。
「…血を流してきます。」
葵は、自分が発したとは思えないほど淡々とした声に驚いた。誰もが動こうとしない中、葵は部屋から出て行った。
手に付着した血を、洗い流した。全身が土砂降りの雨に打たれる。葵は木によじ登り、そこから屋根に飛び移り、その上に座った。土砂降りの雨が自分の代わりに泣いているようだった。
この時葵の頬には冷たい雨に交じり、少し暖かいものが流れていたが、葵自身がそれに気が付くことはなかった。
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「山崎、小宮を見てないか?」
「ん…、朝食の後から一度もあってないんで、分かりませんわ。」
葵が出て行ってから一刻ほどした頃のことである。芹沢と新見の死体の処理を終えて、山崎が自室に帰ろうとした時に土方がいきなり山崎に声を掛けたのだった。
「…そうか。部屋に戻ったのかもしれないな。よし、山崎呼んできてくれるか?」
「承知しました。」
そう言って山崎は天井裏に消えた。が、顔を真っ青にして一瞬で戻ってきた。
「ぁ、葵が、おれへん…。」
「何!?さ、探せ!!隊長を集めろ!全員で探すぞ!!」
山崎はひとつ頷き、部屋を飛び出して行った。