新撰組~変えてやる!!
雨にうたれながら葵は考えていた。“ここに来た意味”や“自分の存在価値”について。そして、“なぜ、自分だったのか”と。
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一方、その頃…
「おめぇら!!小宮を探せ!!あいつは今、精神的に不安定なはずだ。各自、思い当たる場所を捜してくれ!以上だ!!」
葵が、部屋にいないというだけで、大騒ぎになっていたという。
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長い時間、屋根の上に座っている。雨はまだ土砂降りのままだ。空が見えていればすでに、星が幾つも輝いている頃だろう。
「……ぁれ?少し、騒がしいな…」
葵はこの頃になって、ようやく騒がしいことに気が付いたらしい。葵は屋根の上からに2回程回転して、着地した。そして、たまたま廊下を走ってきた土方に声を掛けた。
「…あっ、土方副長!!何かあったんですか?」
「…こみ、や…てめぇ…いってぇ今までどこに居やがった!?」
葵の運もここで尽きたようだ。鬼の形相の土方が葵に一歩一歩近いていく。
「ずっと、屋根の上に…」
葵は屋根の上を指差した。
「こんの、ど阿呆!!ずっとこの雨にうたれてたってのか!?」
葵の頭に衝撃が走る。土方が殴ったのだ。それと同時に向こうから物凄い勢いで走ってくる影がひとつ。山崎だ。
「葵!!今までどこ行っとったんや!!今、隊長ら総出動で、葵のこと探してるんやで!?どこおってんな!!」
葵は山崎にすごい勢いで揺さぶられながら、土方の時と同様に屋根を指差した。山崎は葵の指差した方向を見て揺さぶるのをやめた。
「…屋根…?す、滑って落ちたらどないすんねん!?危ないやろ!?」
再び山崎が葵を揺さぶる。
「…山崎、もうその辺にしとけ。小宮も見つかったんだ。あいつらにも知らせてこい。」
「了解。行ってくるわ。」
山崎はそう言って歩き出した。が、次の瞬間グラリと体が傾き、そのまま倒れてしまった。葵と土方が驚き駆け寄るが、何の反応もない。
「…チッ…ひでぇ熱だ。小宮は、山崎を俺の部屋に運んどけ!!俺はこいつの部屋行って、着替え取ってくっから!」
「は、はい!!」
葵が返事したのを確認し、土方は走っていってしまった。