新撰組~変えてやる!!

 「小宮、それ、どうしたんだ?」

 「…芹沢局長に、頂きました。」

 開くと、中からは大量の手紙ともう一つ、やたらと大切そうに包んである何かを見つけた。そのうちの手紙の一つを手に持ってみたが、達筆過ぎて読めなかった。そこに土方の手が伸びてきて、散らばった手紙の一つを手に取った。

 「これは、俺にか。」

 「え!?」

 葵は土方の手から手紙を抜きとった。

 「……土……方…、本当だ。土方副長、他は誰宛ですか?」

 「ん?これが、近藤さん、これが山南さん、これが新八、これがお前にで、こっちのが“梅”で、そっちが“雫”。後は、野口、平山、平間だとよ。」

 土方は一つ一つ指をさして教えてくれた。そして、自分宛の手紙を手に取って開いた。

 「……やっぱり、読めない…」

 土方は口の端を持ち上げてニィッと笑った。

 「読んでやろうか?」

 「………お願いします。」

 葵はしばらく悩んでから、土方にその手紙を手渡した。土方が手紙に目を通していたが、その表情が険しいものに変わっていく。

 「なんて、書いているんですか?」

 土方は暫く黙ったままでいたが、意を決したように口を開いた。

 「“小宮へ
    これが、儂の最後のわがままと思って聞いてくれ。儂は、梅や近藤、土方、山南、永倉、野口、平山、平間、雫に手紙を書いた。勝手な願いかも知れんがそれぞれに渡してやって欲しい。渡した包みの中にそれぞれ小さな包みに分けて入れてある。名前も小さい紙に書いて挟んでおいた。後のことは頼んだぞ。
      新撰組局長 芹沢 鴨”」

 短い文章だが不器用な芹沢の新撰組に、仲間に対する思いやりが形になって表れたものだった。

 「…芹沢局長は、本当に、この組の事を大事に思ってました。」

 土方は目を伏せているだけだった。葵は大事そうに包んであった包みを開け、手紙の字と照らし合わせながら包みを分けていった。

 「これは、土方副長にです。あとで近藤局長達も呼んできてください。」

 「…あぁ……」

 土方は立ち上がり、自室へと戻っていった。


 
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