球児に恋をした


***隠れながら**


試合開始のブザーが鳴った

のは良いけど、見るかぎり
応援のスタンドには誰も
いなくて、女子2人で来た
私達はずっと物影に身を
ひそめながらこそこそと

たまに顔を出してずっと


見つめていた。

ルールもあやふやなまま

素人なりにがんばって相手の
ピッチャーが投げる速い球を
必死に目で追い続けたんだ。


アウトかセーフかもわからない

そんな視野の狭い場所から

バッターボックスだけが

まるで写真に切り抜いた
みたいにちょうど見える
場所を見つけた。


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