意識の融解
これほどに戦意喪失した自分に価値はあるのだろうか。

いや、少なくとも一般的な評価を得ている以上、会社にとってはある程度は有益だとは思う。

だからむしろ逆で、問題は自分にとって会社は価値があるかどうかということなのだ。


価値は、ある。

一人で暮らすには困らない給料を得ているし、仕事で知り合った仲間もいる。

しかし、それだけで価値があると言い切れるのか?

給料は別の仕事でも得られるだろうし、一度築いた仲間の信頼関係はそう簡単に壊れるものではない。環境が変わればさらに仲間を増やすこともできるだろう。


決め手がない。


なぜなら、私の中には、満足感を求め戦いたがっている自分がいるから。

しかし、司令官たる自分が、ここで戦えと自分に命令を下せないのだ。

だが今の部署とて、専門技術と話術、戦略的問題解決能力を総動員して作業にあたらねばならず、それ故に高い満足感を得られるとされる、戦うには十分な業務を担っている。


それなのに、

私はどうして戦えない?

どうして戦わない?


わかっている。

私は自分との戦いに決着をつけていないのだ。

そんな私が周囲と戦える筈がないのだ。

・・・



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