結婚指輪をぶっ壊せ!


数学Aの時間、思いのほか問題がすぐに解けたので美和に話し掛けた。

先生は教室の後ろの方で問題児に内容を教えているらしい。

「美和ちゃん」

美和は少し大儀そうに私をみた。

「なに?」

「琢也君、ホントに明日、行くかな?」

「行くでしょ、琢也君なら」

私も何となく想像していた。

席替えしようと言い出したのも琢也君だし、どうも今の窓際の席が気に食わないらしい。

私は「だよねぇー」と言いつつ、肩を下げた。

「また前の辺りの席が良いね」

と美和が言った。

美和も先生の授業が分かりやすくて好きで、なるべく前が良いとずっと漏らしている。

「うん」

と私が同意すると美和はにやーと笑って、

「いろはちゃんの前に行きたい動機は不純だけどねぇ」

と言った。

自分でも顔が赤面するのが分かる。


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