遥かなる愛の花束を。
「相変わらずすげぇ湿気だなぁ、日本は」
よく晴れた日の午後、俺は3年ぶりに日本の地を踏んだ。
あくびをしながら飛行機を降り立つとそこは湿気の国日本であり、
すっかり欧州の爽やかな空気に馴染んだ俺はそのじめっとした空気についつい苦笑してしまう。
こんなにいい天気なのになんでこんなに湿気が多いんだ?
日本独特の雨の気配に―やっと帰ってきたんだな―という思いと
何となく感じてしまった違和感にぽろっと本音がでる。
そして
3年前まではこれが普通だったはずなのにな
と重ねて苦笑した。
時が過ぎるのはなんて早いんだろうか。
そして人間の“慣れ”の早さはそれ以上だ。
生まれてから24年間慣れ親しんでいたはずの雨の気配に
違和感を覚えてしまう自分に、なんとも言えない気分になる。