遥かなる愛の花束を。
「うん。・・・今日、恭佑が成田まで迎えにいってるみたい」
美郷は下を向いたまま、
消え入りそうなくらい小さな声で言った。
私は美郷を見ていた視線を目の前のグラスに落とした。
カランとグラスの中の氷が揺れる。
カフェの中はざわざわとうるさいはずなのに
私と美郷が座るテーブルの周りは
周囲から取り残されたように静かだった。
美郷と私の間に無の時間が流れる。
「・・・そっか」
私はそう呟いた。
だが、
その言葉に声がのっていたかどうかはわからない。
それくらい小さな声しか出なかった。
なにこんなに動揺してるんだろう。
本当ならこんなに胸に痛い話でもないのに・・・
私は自分の弱さにちょっぴり笑ってしまう。
しかし、
私の中でその事実は
ただただリフレインしていた。