遥かなる愛の花束を。
「大丈夫、わかっていたことだもの」
私は心の迷いを打ち払うように、そう言った。
未怜は先ほどのまま
ずっと私を見つめている。
その強い“瞳”に
私はあの時の決意を思い出す――
私は私を見つめる未怜の瞳に目を向け、言った。
「私は迷わない。あの時、決めたから。・・・私は決めたから」
未怜はずっと見つめていた私の瞳から目を反らし
カフェのガラスから外を眺めた。
そして
「あの時からハルちゃんは変わらないね」
とポツリと呟いた。
その言葉に
今まで静寂だった周りの世界は動きだし
カフェの中は再びガヤガヤとした賑わいに包まれた。
私も未怜に倣い、外を眺めた。
外は
いつからか雨が降っていた。
音もなく、降っていた。
目線は外を眺めたまま
おもむろにテーブルの上のグラスを手にとり
ストローに口をつけた。
口の中に薄いグレープフルーツの味がする。
大好きなはずのグレープフルーツジュースが苦く感じた。
そして目線はなおも外に向け、
再び
グラスをテーブルの上に置く。
グラスの中の氷が
カランと音をたてて、溶けた。