遥かなる愛の花束を。
「おう、帰ってきたか、相棒!」
成田空港の到着ロビーに降り立った俺の十数メートル先に
十数年来の親友―天野恭佑(アマノ キョウスケ)がそう言ってひょいっと現れた。
恭佑は
いつもながら
神出鬼没でひょうひょうとしている。
恭佑と初めて会ったのは中1の時だったが
その時もよく授業を抜け出してはどこかへ出かけていた。
それでも
サッカーには誰よりも真面目で
サッカーの練習は一度も休んだり抜け出したりしなかった。
恭佑は、
3年前、わかれたときよりも
さらに日焼けして、
ガッシリとした体つきになっていた。
だけど
俺に笑いかけるあの笑顔は3年前のままだ。
俺が十数メートル先の恭佑の元へと足早に向かおうとすると
恭佑はその場で右手を握りしめ、胸の前に突き出した。
その突き出された右手に、
自分の握りしめた右手をコツン、と合わせる。
自然と俺と恭佑の間に笑みがこぼれる。
「ただいま、相棒。待たせたな」
それは
俺と恭佑の出会ってから変わらない、約束のサインだった――