俺の愛を、お前に捧げる
「恭祐は、解放してやってほしい」

俺は市之瀬の目を見て真剣にそう言った。


だってそうだろ?

恭祐は何も関係ないんだ。


「…は、はい」

俺に言わされているかのように

ガクガクと震えながら恭祐ののど元にあったナイフを
地面に落とした。


「お前ら!!動くんじゃねえ。疾風、総。恭祐を1階の部屋に運べ」

「「は、はい!!」」

疾風と総が前に出てきて恭祐を抱きかかえ部屋の方へと歩いていった。


「市之瀬瞳」

そう俺が呼ぶと
「…は、はい」と
返事をした。


「1回、話そう」

「…はい」

「ついて来い」

そういい、俺は振り返り元来た道を戻ろうとした。


――しかし、

市之瀬は全く動こうとはしなかった。



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