君に歌って欲しい歌
おじいちゃんの真上の病室。
日当たりがよく、きらきらと眩しい光が廊下にも届く。
それが、また昨日のように彼にふりそそいでいた。
綺麗だなー…
「あれ?来るの早かったね」
「う、うん…」
昨日知り合った、優しい声の彼。
早く会いたかったからなんて、とても恥ずかしくて言えない。
彼は少し微笑んで、あたしを手招きした。
「?」
「こっちにおいでよ。えーっと…名前聞いていい?」
「あ…紗優って言うんだ。えっと…翔君ってよんでいい?」
「紗優か…うんいいよ」
あれ?
なんか今、すごく楽しい。
いつも気になっていた、声の持ち主が目の前にいるから?
何気ない自己紹介がたまらなくドキドキする。
「紗優は…」
「えぇ!?」
「え??」
「あ、なんでもない…」
びっくりした…
いきなり、呼び捨てでよばれたから…
男の人に下の名前であんまり呼ばれてなくて、慣れてないからかな?
それに、綺麗な声で名前を呼んだからかな?
どっちにしろ、今すごくドキドキしてる。
あと、なんか嬉しい…