君に歌って欲しい歌
「さーゆ?」
「え??…お、おじいちゃん…」
いつの間にか、おじいちゃんの病室に来ていた。
「どーしたん?」
「え?」
「なんか、つらそうな顔してるから」
「そーお?」
あたし、そんな顔してたんだ…
「大丈夫だよ?」
大丈夫じゃない。
翔君のこと、知りたいって思うほど、不安でいっぱいになる。
何を背負って、何の為に歌っているのか。
きっと、『気づいてもらうため』じゃなくて『気づいてほしい』んだ。
きっと、それは翔君の『想ってる人』。
きっと、翔君の『好きな人』。
なんの根拠もないけれど、あたしはそう悟ってしまった。
ほんとなんの根拠もないのに…