君に歌って欲しい歌
「んじゃ、行ってくる!」
次の日。
今日は翔君に知りたかった事を聞こうと思う。
ザァァ―――・・・
雨で、辺りはどんよりとしている。
そのせいで、暗い気持ちになり、聞くのが少し怖くなってきた。
翔君の歌声も、雨の音でかき消され聞こえない。
~♪…
翔君の病室に近づくにつれ、聞こえる翔君の声。
雨に似合った、落ち着いた曲。
「翔君…」
「あ、紗優ー」
今日も素敵スマイルをあたしに見せてくれる。
「…どーしたの?」
「い、いや…」
なんだか、あらためて、聞くとなると緊張する。
本当は聞かない方がいいんじゃないか。
聞いたら、翔君との今の関係が壊れるんじゃないか。
嫌な被害妄想が、頭の中を渦巻く。