君に歌って欲しい歌
「笑顔になったね」
「え?」
翔君は、いきなり真剣な顔になった。
「なんか、難しそうな顔してたから」
あ・・・・
そうか、あたし翔君に聞きたいことがあったんだ。
翔君はあたしが元気ないってお見通しだったんだね。
「聞きたいことがあるの」
「・・・うん」
翔君は、あたしが何を聞きたいか悟ったらしく、さっきよりも、真剣な顔になった。
雨が激しくなって、空気が凍りつく。
「あのね・・・」
緊張で、手が震えてきた。
簡単な質問なのに、うまく言葉がでてこない。
「・・・前に言ってた」
タラララッタ
さっきまで、翔君が歌っていた曲が頭をよぎる。
「『気づいてもらうため』ってどーゆーこと・・・?」