君に歌って欲しい歌
自殺・・・って・・・
一気に血の気が引いていったのが分かった。
怖い・・・
あたしは翔君の手を無意識に握っていた。
嫌だ・・・嫌だ
翔君・・・消えないで・・・
「大丈夫・・・今はそんなことしようとは思ってない」
翔君・・・病気、そんなに苦しかったんだね・・・
そのときも君の痛みを、全部あたしが貰うことができたらいいのに・・・
そしたら、君は苦しまなくてよかったのに・・・
「屋上行って、靴を脱いで、あァ、これで苦しまなくてすむ・・・やっと自由になれるって、その時俺は死んだ・・・・・はずだった」
ぽろぽろと翔君の目から涙がこぼれる。
今にも壊れてしまいそうな翔君を、あたしはそっと抱き寄せた。
あたしの涙も、ベッドのシーツに染込んで行く。
「ごめん・・・・ごめんね・・翔君・・・。無理に思い出させて・・・ほんと、ごめん・・・もう、いいよ・・・ありがとぅ・・」
ごめんね・・・
翔君・・・
もういいよ、苦しまないで・・・
こんなにも君が苦しむとは思わなかった
聞かなきゃよかった・・・
どうか、苦しまないで・・・
君のために聞いたつもりが、逆に苦しませてしまった。
最低だ、あたし・・・
翔君にこんな顔させて・・・
「・・・い・・や・・・話すよ」
「翔・・君・・・」
「・・・俺が、屋上から足を踏み外した時、ふわりと体が中に浮いた。やっと、死ねるって思ってた。・・・けど、痛みはすぐにやってきたんだ・・・。」
「・・え?」