君に歌って欲しい歌



うかれうかれて、
夏休みも残り2日と近づいた頃、大変なことに気がつきました。


「ちょちょちょ・・・これ、おわらんよ、絶対」
「終わる、終わる。頑張れ」
「いやいや、絶対無理。これ、終わってる人いないんじゃ・・・」
「あーはいはい。俺も手伝うから、頑張ろ?」


翔君に出会って浮かれすぎて、夏休みの課題、やってませんでした、はい。



「翔君、学校行ってなかったのに、なんでそんなにできるのさー!」
「暇な時は、歌うか勉強だったから」

でも、授業なしで、あたしよりできるとは・・・凄すぎる。

というか、絶対これは終わらない・・・


「~♪・・・♪」

あー翔君。

のんきに鼻歌なんて歌っちゃって。

あたしは、焦りまくってるんすよ?



あ、でもこの歌・・・

「~♪」
「知ってるの?」
「うん。あたし、この曲知ってるよ」
「結構マニアックな曲なのに・・・知ってる人いたんだ」
「あたし、このグループのファンなんだ!」
「え!?俺もだよ!」
「ええ!?」


『SS』メジャーデビューはしているが、あまり知られていない、男子2人女子2人のバンドグループ。

マニアックすぎて、あたし以外にファンがいたなんて驚きだ。


「こんな身近に、SSのファンがいたとは・・・」
「俺もびっくり」


翔君と同じものが好きだなんて、ちょっと嬉しい。

「CD全部持ってるよ」
「そうなの?俺、ファーストシングルだけ持ってないんだー」
「じゃあ、また貸すよ!」
「ほんと?ありがとー」
「誰が一番好き!?」
「やっぱ、ボーカルのナノかなあー!歌上手い!」
「上手いよねー!可愛いし!あたしは、ドラムのヒロ!歌詞作ってるじゃん?めちゃめちゃ好きーー!」
「あ、俺も好きー!!」



それから、ますます意気投合し、その話は夕方まで続いた。






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