君に歌って欲しい歌


ミーン、ミーン、と夕方なのにも関わらず、せみがうるさく鳴いている。


「・・・あ、課題・・・」
「終わらなかったね・・・」

泣きたいのはこっちです。

話に夢中になりすぎて、課題出来なかった・・・

「半分やっとこうか?」
「・・ううん。翔君は明日の準備があるでしょ?・・・頑張るよ」

明日は翔君の退院の日。

そこまで迷惑はかけられない。

これは、頑張るしかない・・・


「じゃ、帰るね」
「うん、ばいばーい」
「ばいばーい」


家に着いてからも、翔君のことが頭から離れない。

翔君、『SS』好きなのかー

意外な一面を知ってしまった。

今度一緒にライブにでも行きたいなー

・・・いやいや、それってデートじゃん!


「ああああああ//」

勉強机で一人、妄想し顔を赤らめるの繰り返しで、課題が一向に進まない。

翔君のこと考えてると、いつも何も手がつかない。

「翔君中毒・・・」


そんな呟きも虚しいまま、課題は終わらないままで、翔君は退院し、ついに待ち遠しかった2学期がやってきた。


せみの鳴き声もまだうるさいまま、翔君と出会った夏は、楽しみと課題を残し、幕を閉じたのでした・・・





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