君に歌って欲しい歌
病院の中は平日にもかかわらず、人が結構いて、看護士さん達は忙しそうに走り回っていた。
「紗優のおじいちゃんは、確か俺のいた部屋の下の部屋だったよね」
「うん、そうだよ」
「じゃあ、検査行ってからそっち行くから、紗優は先に行ってて?」
「分かったー」
そう約束し、あたしはおじいちゃんの部屋に向かった。
「おじーちゃん」
「あぁ、紗優か」
「調子どう?」
「ん、いつもとかわらへんよ」
「そっか!あ、今日、あの翔くんがくるからね!!」
「しょう・・・あぁ、歌の」
それを聞いたおじいちゃんは少し嬉しそうだった。
やっぱり、おじいちゃんは翔君に会いたかったんだ!
よかったー。
それから、何分か待っていたけど、翔君はなかなかこなかった。
そんなに検査は時間はかからないハズ。
場所が分からなくて迷ってるのかな?
いやいや、それはない。
何か合った・・・?
嫌な予感が、脳内によぎる。
「ちょっと、翔君迎えに行ってくる!」
「はいよー」
あたしは急いで病室を出て、翔君の元に向かった。