君に歌って欲しい歌
「っく…あはははは!」
「…へ?」
彼は大人しそうな顔とはまったく想像のつかないような笑顔で…
大爆笑していた。
「え?え?」
「くくっ…いや…ごめん。おもしろくて…天使って、俺のこと?」
「あっ」
自分で言ったくせに、さらに恥ずかしくなった。
すぐ戻るつもりだったのに…最悪だ。
やっぱ、止めとけばよかった。
「いや…あの、ごめんなさい。あたし…戻ります」
これ以上、恥をかきたくない。
そう思ってこの場を離れようとした。
「待って?」
が、無理だった。
「もーちょっと…はなそ?」
「え」
その時の彼の顔は凄く綺麗で、切なげで、いろんなモノを背負っているような…
守ってあげたいって思うような、そんな顔だった。