君に歌って欲しい歌
しばらくして、2人の話す声が聞こえた。
泣いてたり、笑ってたり、謝ってたり、怒ってたり・・・
病室の外にいるあたしにも、聞こえるはずなのに、頭に何も入ってこない。
あたしはただ、立ち尽くしていた。
嫌だ。
黒い感情が、どろどろとした塊が、あたしの中を支配する。
嫌だ。
あたしは、いつのまにこんな嫌な女になってたんだろう。
いつのまにこんなに翔君への独占欲が強まったんだろう。
いつのまにこんなに翔君のことを好きになってたんだろう・・・
彼女は、目を覚ました。
あたしは、もう何もできない。
あたしは・・・
今、なんのためにココにいるんだろう?
この涙が、彼女が目覚めたことを喜ぶための涙だったら良かったのに・・・