トレイン


このままではリカを失ってしまう。こんな弱い自分をリカが好きでいてくれるわけがなかった。頼り無い自分が、知らず知らずのうちにリカを不安にさせているんだと思った。

ちゃんとリカと向き合わなければ。そう思った僕は恐る恐るリカにいった。

「今度の有休で箱根に行かないか」

自然に囲まれた落ち着いた場所で、リカの気持ちを確めようと思った。
もしかしたらこれが最後の旅行になるかもしれない。そう心の中で思いながらも、一方では、また箱根に二人で行くことで、あの頃の関係に戻れるんじゃないかと淡い期待を抱いていた。

手をつなぐだけでほっとして、目が合うだけで笑みが溢れたあの頃に。

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