トレイン
携帯


温泉を楽しみ、食事を済ませると、特にこれといってすることもなくなった。リカは座椅子に座り携帯をいじりながらテレビを眺め、僕はベッドの上でPSPの電源を入れる。液晶画面には『龍が如く~新章』の文字。
わざわざ箱根にまで来て、何で都会の街中を歩き回るようなゲームをしているのか、我ながら不思議だったが、僕はとりあえず街の不良三人と喧嘩をし、キャラクターのレベルが上がったところで、キャバクラに向かった。液晶にはやけにリアルなグラフィックのキャバ嬢が映し出され、いらっしゃいませ、と優しく微笑む。

「ねえ、これ凄くない?」

僕は胸の大きいキャバ嬢が映し出されたPSPをリカに見せた。

「なにこれ。実写?」

「違うよ、ゲーム。リカもやってみる?」

リカは一瞬、リアルなグラフィックに驚いた表情を見せたが、すぐに冷めた顔になっていった。

「いい。テレビ視てるから」

前のリカなら、なにこれエロ~い。こんな娘が好きなの?とかいいながら、僕のPSPをむしりとっていただろう。僕はPSPの電源を切って、テーブルを挟んだ向かい側の座椅子に座った。

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