暗闇のスキマから月明かり
……しばらく、独りぼっちで、寂しかった。



「あれ…捨て猫…?」


傘を差した男……顔がよく見えないや。


『にゃあ〜…にゃあ〜…』


「寒かっただろう…可哀相に」


そう言って、プルプルと震える、僕の身体を抱き寄せて、温めてくれたのは……愁蔵だった。



ー愁蔵、あの頃のこと覚えてるか?



俺は、覚えてるよ。


お前が、助けてくれたこと。
あの暖かい手の温もり…。



最後にもう1度…。

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